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2015年01月30日

スピーチプライバシー

経済産業省の産業技術メールマガジン「技術のおもて側、生活のうら側」に
SPS(スピーチプライバシー)の記事が掲載されましたので、少し長いですがご案内いたします。



◆技術のおもて側、生活のうら側

こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。

◆自然な音で会話を守る

見知った者同士の会話で、自分や家族の健康を話題にすることがあ
る。健康は誰もが関わることなので話題にしやすいが、病気やけが
についての個人情報を、赤の他人に知られても構わないと思う方は
少数派だろう。

ところが、医療機関や薬局で順番待ちをしていると、他人の病状や
投薬の情報が漏れ聞こえてしまうことがある。他人に聞かれたくな
いが聞こえてしまうかもしれないという点では、官庁や金融機関の
申請・相談窓口、パーティションで区切られた簡易な打合せスペー
スでの対話も同様だ。

このような会話の中の秘密やプライバシーを、周囲に聞こえにくく
する装置を販売しているのが、音のプロフェッショナルでもある、
ヤマハ株式会社だ。

当然のことだが、多様な音が飛び交う喧噪の中での会話は聞き取り
づらい。ヤマハが販売する製品は、単純に言えば、人間の会話を殊
更聞き取りづらくする合成音をスピーカーから流すというものだ。

商材として売るからには、単に音を流せば良いというものではない。
音のボリュームを大きくすれば会話の声は周囲に聞こえにくくなる
だろうが、肝心の会話が成立しない。不快な音を流したら、会話に
集中できない。

人間の声をもとに独自に合成したというその「音」は、都会の雑踏、
街のざわめきといった印象を受ける音だ。その音だけを最初に聞い
たときは、静寂を好む人は気に障るかもしれない、と思えたが、現
場で流していると、すぐに気にならなくなる。

要するに、様々な場所で自然に耳に入ってくる音を、上手く再現し
ているわけだ。

既存の類似製品もないではないが、それらは、ボリュームの大きな
ノイズで会話をかき消す仕組みであり、会話の邪魔をしかねない面
もある。会話の内容がほとんど理解できなくなる状態である単語了
解度0.1(10の単語が発されたうち1しか聞こえない水準)で両者を
比較すると、ヤマハ製品は6~7.5デシベルほど小さい音量で済むと
いう。

デシベルでこれほどの差があると、体感では音量が半分程度となっ
て耳に届くことになる。

米国では、以前から音声のプライバシーを確保することが法制で定
められており、日本でも、21世紀に入った頃から個人情報保護法制
定の動きがみられていた。このためヤマハでは、音声のプライバシ
ー確保が求められる可能性が増えると予測し、事業化の検討に着手
していた。

開発を担当した秦さんは、入社以来、主にホール音響設計の業務に
携わってきたが、そこで培った吸音・遮音など建築的な手法だけで
は音声のプライバシー確保に限界があることを感じて、サウンドマ
スキング技術による問題解決を試みた。

当初は、システムをパーティションなどにビルドインさせる組合せ
なども考えたが、国内の主な潜在ユーザーを医療関係機関と定めた
ことなどを考慮し、コンセントさえあれば手軽に設置できる家電の
ような製品として完成に至った。

一見して、小型の空気清浄機か消臭剤ケースを思わせる、高さ20cm
程度の角が取れた四角柱状の製品形状は、単なるスピーカーに見せ
たくなかったというデザイン部門の提案が取り入れられた結果だ。

音に関しても、人の声から合成したマスキング音に森の音や川のせ
せらぎなどの環境音を加えることで、より自然で快適な音環境づく
りを目指すなど、ヤマハならではの音へのこだわりを追求している。

営業の加藤さんは、この製品の販売対象が従来の音・音楽を中心と
したヤマハの顧客層とは全く違うことに当初大いに戸惑ったという。

社内に知見のない領域の製品を販売するとなると、最近は、投下資
本が少なくて済むweb上での試験販売から始めるという選択もある。
だが加藤さんらが選んだのは、デモ機による試用を経て効果を実感
した顧客に導入してもらうという、手間のかかる丁寧な営業だった。

「音」の捉え方は個人差が大きく、場所によっても違いが出る。そ
れを熟知する「音」のプロとしての判断であり、その甲斐あって、
発売から約4年の間に、薬局や開業医、病院、官庁、一般オフィス
などに利用が広がりつつある。丁寧な売り方が功を奏し、顧客から
のクレームはゼロに等しいという。

ところで、この画期的な製品にも限界はある。会話の声があまりに
大きいとマスキングが追いつかないというのだ。聞かれたくない会
話を交わすときは、やはり周囲への配慮も重要である。地声が極端
に大きい方は、ゆめゆめ注意されたし。




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Posted by ネットワーク(株) at 06:03│Comments(0)社長ブログ技術情報
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